スキ☆キス
ぷっ、と小さく笑い声の漏れる音がした。
「エリリン、それ
なんかのCMみたいだよ」
「え、そう?」
上げていた手をおろして、再び座りなおす。
「ありがとうエリリン」
クミタンは、私の顔を見て笑った。
「前に進むよ、俺」
そう言うクミタンは、すごくまっすぐな目をしていた。
「本当は今まで、何度も忘れようとしたんだ、朱里さんのこと。
忘れられなかったわけじゃない、忘れようとしなかったんだ…忘れたくなかったから。
…でも今は、やっと決心がついたよ」
前に進む、決心
「いつまでも過去ばっか気にしてる女々しい奴なんか、誰も好きになんないもんな!」
さっきまでのクミタンは、誰にも好かれなくてもいい、っていう感じだったのに
今はまるで、誰かに好かれたいみたいだった。