スキ☆キス
エリリンが先に教室に戻ったあとも、俺は無人の階段でたたぼーっとしていた。
俺以外、無人のはずの場所で
「ねー」
「……………」
壁に向かって話かけても、返事はナシ。
「結葉、いつから聞いてた?」
「え!いや、えっと
ついさっき…うっかり…」
名前を呼ぶと、アッサリ顔を出す
俺の、ストーカーさん
「まぁ、いーや
それより君はさぁ、好きな人のこと、思ってるだけで幸せ?」
「うっ、うん!もちろん!!」
「例えば、その好きな人に恋人がいたとしても?」
もし、俺と同じ状況になった時
この子は、なんて答えるんだろう
「あたしはっ
その人を好きになれてるだけで幸せなのっ、同じ空間にいられるだけで、同じ空気を吸えてるだけで
すごくすっごく幸せなの!」
そんなふうに、思えるんだ
「ってごめん!気持ち悪いよね」
「そんなことないよ」
全然、そんなことない
「もし、自分のことをそんなふうに思ってくれる人がいたら、すごく嬉しいよ」
俺もなれるかな、この子みたいに