スキ☆キス
《最終章》

鈍感な男

 


「イッチー!一緒に帰ろ!!」



満面の笑みで玖海が近づいてくる。

俺は、ただ無言で自転車を押して歩いた。



「…ごめんねイッチー
俺、ほんとはどうでもいいなんか思ってないよ」



なんだよ、やっぱり。

俺は歩みを止めて玖海の顔を見る



「知ってたっつーのバァーカ」



さすがにちょっとヘコんだけどな

まぁ、俺は寛大な心を持った男だ、許してやる



「あともいっこごめんね」

「あ?」

「俺、エリリンが好きだよ」



なに…言ってんだ?コイツ



「これから何があっても、エリリンが誰を好きでも」

「それの、なにがごめんなんだよ…?」



なんでそんなこと、俺に言うんだよ



「あ、そーだ!達海の時みたいにさ、俺にもしてよ!」



玖海は話をそらして笑顔で続けた



「キューピッド」



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