スキ☆キス
「好きな人のこと、バカなんて言っちゃっていーの?」
私が聞くと、クミタンは首を傾げた。
「クミタン、イッチーが好きだなんて言ったぁ?」
え…
そう言われてみれば…
直接"好き"だなんて、聞いたことないかも…
「イッチーは、クミタンの憧れなのぉー
言葉遣いとか超カッコよくてぇー、クミタンもいつかあんな男の子になれたらなぁって」
いや、絶対見習う相手間違えてるって!
ん?てか…
「女の子はどう頑張っても男の子にはなれないんだよ?」
クミタンは一琉みたいな男の子になりたい、って言った。
けどクミタンは女の子で…
「え?」
私は何度も瞬きをしながらクミタンを見た。
どう見ても…女の子、だよね?
「あっ、クミタン今日も女装してるー」
「かわいいーっ」
クラスの女の子たちが、クミタンに話しかける。
「えへっ、ありがとぉー」
クミタンはスカートの端を持ち、ふわふわの巻き髪を揺らしながらクルッと回った。