スキ☆キス
 


私はクイクイと手招きをしてクミタンの耳に唇を寄せた。



「じゃあ、クミタンだけに言うね」

「わーっ内緒バナシぃ?
なんか特別っぽくてすきだよぉー」



なんでもない

特別なんかじゃない

いつものことだよ



「私ね、明日転校する」



そう言った瞬間、クミタンは目を見開いて私を見た。



「え…?」

「なにー内緒話って」



私たちの話を聞いていたのか、達海が椅子の背もたれに肘を置いて隣の席に腰かける。



「内緒だよ、クミタン」

「……………」

「えーっ玖海だけずりぃー」



達海がガタガタと椅子を揺らす。

そんな姿を見るのも今日で最後、今日でお別れ

私は明日、ここから居なくなる。

今回は退学じゃなくて、自分の意思で

友達を、傷つける前に



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