スキ☆キス
ってか、一琉って今何か持ってたっけ…?
鞄すら持ってないのに何をくれるって…
「前からお前が欲しがってたもんだ、受け取れ」
「へっ?」
急に片手でグッと頭の後ろをつかまれて、引き寄せられる。
それと同時に、唇に柔らかいものが押しあてられた。
慌てて目を開けると、すぐ目の前に一琉の顔があった。
ゆっくりと、唇が離れる。
「………え?」
これはもしや…キス?
え、"いーもん"ってキスのこと!?
なんていうか…
今の私は放心状態で…
とりあえず、何か言わなきゃ…
えーと…
「……ごちそうさまです…?」
「ぶはっ、バカかお前!!」
一琉はお腹をおさえて笑いながら机をバンバンと叩いた。
「なっ、なにさ…っ!」
「な?いーもんだったろ?」
そして今度はニヤニヤと笑う。
「うっ、自惚れんなぁあ!!!」
私は大声で叫んだ。
その日、一琉の自転車が白と黒のスプレーでゼブラ柄に塗装されるという地味な嫌がらせが発生した。
犯人は紛れもなく…
「おいブス出てこいてめぇー!!」
この私。