スキ☆キス
 


「実はさぁ、かーちゃんの誕生日とかもう過ぎたし…今日、プレゼントも買ってない」

「え!!?」



なんでそんな嘘をっ



「ほんとごめん…」



シュンと頭を下げる達海の姿は、今日見た映画の子犬みたい



「いや、うん、全然いいよっ大丈夫っ!!」



そりゃ、許しちゃいますって。



「ありがとー!!!
それでさ、今日付き合ってくれたお礼っ…」



そう言うと達海はたくさんある袋の中から一つの紙袋を膝の上に置いて

その中から何かを取り出した。



「じゃーんっ、プレゼント!」



キラキラとした目でそれを抱えて見せる。



「かっ…かわいい!」



私はそれを受け取ると、優しく抱きしめた。

いつの間に買ったんだろう

白いふわふわの、子犬のぬいぐるみ



「もらっていーの!?」

「うん、俺だと思って大事にしてっ」

「思わないけど、大事にするっ!」



腕の中の子犬のぬいぐるみを見つめると、つぶらな瞳でこっちを見ていた。



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