スキ☆キス
 


もうすぐ観覧車が地上につく。

それに気づいて達海はそっと私から離れた。



「…返事はいらないからさ、もしこれから俺のこと好きになったら、その時は…」



達海はそこまで言うと、大きく息を吸った。



「キスして」


―ドキッ



心臓がうるさく鳴る

係員さんがドアを開けて、私たちは観覧車から下りた。

しばらくお互い無言のまま歩いていると、達海が立ち止まって叫んだ。



「ずりぃーよ!」

「…何が?」

「だってそいつ、これからずっとエリーと一緒にいれんじゃん」



私の持っているぬいぐるみを指差して言う。



「あーぁ、俺も犬になりてー」

「なに言ってんの
達海、じゅうぶん犬っぽいじゃん」

「まじで!?じゃあ飼ってくれる?」

「飼いません」



なんだろう

達海と一緒にいると、すごく楽しいし落ち着く

まだ、好きかはどうかはわからないけど…



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