プリンセスゲーム
教室の前で一呼吸を置いて先生がドアを開ける。
ざわついた教室が一気に静まるが・・・ひいふうみ・・・と数えればたった20人の少人数クラス。
その数の少なさに驚かされるものの、ひとつひとつの机も広い。
快適だ・・・なんて考える間もなく、無駄話ひとつなく全員が黒板前に立つ私達に注目をしている。

「突然だが季節外れの転入生を紹介する」


はいと促され

「鹿野椛といいます。よろしくお願いします」

今日何度目かの自己紹介と愛想笑に顔が引き攣る。
驚いたのはその後。

「よろしくお願いいたします」

クラス一斉の大合唱に逃げ出さなかったのは単に硬直したからだろう。
しかも「いたします」ときた。
寒気と言うか鳥肌が長袖で隠れたのは正直助かった。
どこの世界に迷い込んだかと思うも先生は残酷にも中央の一番後ろの席を指定席にしてくれた。
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