プリンセスゲーム
お祖父様も午後から友達に会うからと言って早々に出掛けてしまった。

一人この広い御屋敷に残された私は呆然としたままゴージャスな自室にこもっていた。

「だからワルツってなんなのー」

ヘルツなら理科の教科書でお知り合いになったけど

「もちろん社交ダンスのワルツです。
もっとも競技ではないので、ステップが踏めれば十分かと思いますが」

「大丈夫。そこはちゃんとわかってるから」

ただあまりに日常とかけ離れた言葉に現実逃避してただけ。

私の執事一日目の飯田さんは今日何杯目かの紅茶を入れてくれて私を落ち着けようとしてくれた。

水っ腹ならぬ紅茶っ腹だ…

好意は素直に受け取り、一口すする。
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