プリンセスゲーム
「あの頃の貴都様じゃ鹿野家の将来は心配だったけど、吉乃さんが一緒なら安泰だって喜んだけどな」
「ねぇ?」
食事を運ぶ古株のメイドが相づちを打つ。
「まさか貴都さんのプロポーズを鼻で笑いとばした挙げ句、貴方みたいな親の財産しか価値の無い人間と結婚なんてよほどの物好きの愚行だわ。
自分が妻を娶るに値する人間かどうか見つめ直しなさい。
なんて、大旦那様の前で…言えないわよねぇ?」
「は?」
初めて聞いた私を始めとする使用人達は鹿野家の伝説にもなった武勇伝に耳を疑う。
「鹿野家七不思議の一つ、吉乃伝説は他にもあるから暇な時にでもきかせてやるよ」
シェフはそう言ってとろとろのチーズオムレツとコンソメスープ、フルーツサラダに焼きたてのパンに手作りのジャムを添えてメイドがワゴンに乗せる。
「まぁ、あんたのお嬢様は鹿野家で大旦那様の次に立派な方だと言う事だよ」
シェフはそう言って送り出してくれたけど…
「ほんとここのパンって美味しいよね!いくつか部屋に持っていっても良いかしら?」
美味しいと喜びながら既に8こ目のロールパンは消えていた。
「お嬢様」
「なに?」
頬張りながら振り向いた顔は幸せそのもの。
良家の子女がはしたないと注意する気も失せて
「今日はございませんがディニッシュパンも美味しゅうございますよ」
「あ、明日は食べるかしら?」
「後でシェフに聞いておきます」
「うん!」
パンは好きなの、と幸せそうに言うお嬢様のあどけない表情に、苦笑を禁じ得ないで居るのは大変だった。
「ねぇ?」
食事を運ぶ古株のメイドが相づちを打つ。
「まさか貴都さんのプロポーズを鼻で笑いとばした挙げ句、貴方みたいな親の財産しか価値の無い人間と結婚なんてよほどの物好きの愚行だわ。
自分が妻を娶るに値する人間かどうか見つめ直しなさい。
なんて、大旦那様の前で…言えないわよねぇ?」
「は?」
初めて聞いた私を始めとする使用人達は鹿野家の伝説にもなった武勇伝に耳を疑う。
「鹿野家七不思議の一つ、吉乃伝説は他にもあるから暇な時にでもきかせてやるよ」
シェフはそう言ってとろとろのチーズオムレツとコンソメスープ、フルーツサラダに焼きたてのパンに手作りのジャムを添えてメイドがワゴンに乗せる。
「まぁ、あんたのお嬢様は鹿野家で大旦那様の次に立派な方だと言う事だよ」
シェフはそう言って送り出してくれたけど…
「ほんとここのパンって美味しいよね!いくつか部屋に持っていっても良いかしら?」
美味しいと喜びながら既に8こ目のロールパンは消えていた。
「お嬢様」
「なに?」
頬張りながら振り向いた顔は幸せそのもの。
良家の子女がはしたないと注意する気も失せて
「今日はございませんがディニッシュパンも美味しゅうございますよ」
「あ、明日は食べるかしら?」
「後でシェフに聞いておきます」
「うん!」
パンは好きなの、と幸せそうに言うお嬢様のあどけない表情に、苦笑を禁じ得ないで居るのは大変だった。