プリンセスゲーム
「じゃ、じゃあ誰が私の超初心者ワルツのフォローするの!?」

ムンクの「叫び」のように両手を頬に添え悲鳴をあげるお嬢様に心の中で応援。

わたくしが誰のフォローもなしに、というか、誰のフォローも期待できないので自信をもって踊れるように致します。

お嬢様のうなだれようはさすがに同情を誘う。

「まあ、橘は女性に恥をかかせる男じゃないからそこは心配する必要はないが…」

大旦那様は何か重要な事を言うように両手を組みお嬢様をまっすぐ見据える。

「エスコート役を兼ね、椛のフィアンセを紹介しよう」

お嬢様のフィアンセ。

鹿野家の子女なら生まれながらの婚約者が居るのは当然の事。

なのにお嬢様付きのわたくしとしたことが、すっかりと失念していた…
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