プリンセスゲーム
背筋を伸ばしスワローテールをはためかせ颯爽と働く姿は乙女の心を鷲掴みするには十分なはずなのだが、ニコッと笑顔と言う武器を持つ飯田さんには本来のスペックが十分発揮出来ていないようだ。

「うん。あのね、聞きたい事あるんだけど、いいかな?」

「何でございましょう」

うーん。
なんか取り付くシマなしって感じ。

隙がないって言うより、守りに入っていると言う感じの飯田さんに、今は事務的な会話の方が良いだろうとメモ用紙を取り出し、質問したい事を書き連ねる。

「質問いいかな?」

「何なりと」

私の手元を盗み見るように覗いた顔がへにょっと歪んだのを気にせず私は堂々と質問をした。

「鹿野家って一体どんな家なの?」

庶民から超金持ちのお嬢様になったギャップは未だ納得が出来ないでいた。
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