プリンセスゲーム
明るくて素敵な部屋なのに寒々しく思うのは季節がらのせいだと思いたい。
薄い木目調の家具はさすが趣味もよろしく、意外にもこの部屋に似合っていた。
白のテラスが気になり窓の外を覗けば、季節はずれのバラ園があった。
当然花は咲いてないけど、花が咲く春が楽しみな庭だと思い

「バラが咲いたら素敵だよね」

蕾どころか葉っぱもおちてトゲトゲしい幹が寒空の下で耐えていた。

「暖かくなったらテラスでブランチなさるのもよろしいかと」

九重さんのオススメはとても魅力的だが

「ブランチかー。
それまでもつかな?」
「モーニングでもかまいませんよ」

お年寄りもびっくりな私の早起きを知っている飯田さんのフォローに感謝。
ブランチも捨てがたいけど、やっぱり朝食を食べないと一日がだるい。
やっぱり三食は生活の基本だと再確認していれば、コンコンとノック音。

「はい」

振り向けば部屋の外から

「大旦那様がいらっしゃいました」

九重さんが大股で迎えに行った。
< 65 / 130 >

この作品をシェア

pagetop