プリンセスゲーム
この屋敷に不慣れな私に広大な庭を案内してくれる。
遠くに見える景色は橘さんの敷地なのでちょっとしたズルだ。

郁様はバラ園をぬけた東屋まで案内して、ガーデンチェアに座り休憩をする。
厚いコートを着ているのに風が肌を刺すように痛い。

「春になったら素敵でしょうね」

会話も無くここまでエスコートされれば寒いのは気温のせいだけじゃない。

重い空気のなか切り出した会話は続かず、冬の風にかき消された。
< 70 / 130 >

この作品をシェア

pagetop