プリンセスゲーム
唖然として彼を見上げていれば、彼の話はまだまだ続く。

「とりあえず、キミが大学を卒業したら式を挙げる。
大学は当然行くだろ?
その後はキミの冴えない叔父に社長になってもらって、社の実権を放棄してもらう。
右肩下がりの業績の責任を取ってもらうには十分だろ?
言っておくがキミにこの婚約を破棄する権限はない。
何故だか解るか?」

初めて私を見る。
答えられない私は何とか見返せば

「キミみたいな何処の誰だか解らない血筋が混ざった娘に鹿野の直系の血筋が在るだけで鹿野を受け継ぐ器量のある婿が来るなんて有り得ないだろ。
キミにある魅力は鹿野の地位と財産で、結婚ごっこする魅力はない」

目の前が真っ暗になるのを感じながら力無く椅子に座る。
話を一方的に終わらせた婚約者はいつのまにか姿を隠していたのを私はとうとう気が付かなかった。
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