プリンセスゲーム
学年末のテストを目の前に私は真新しい制服の匂いと共に歯の浮くような名前の学校にいた。

『聖ルテオローザ学園』

の校長室。

家柄と財力を重視した淑女の花園。
一般からの入学は一切なく、家の財力のみが入学の条件。

「この方が鹿野のお孫様ですのね」

ふくよかな体の校長のシスター風見は紺色のつなぎの服に真っ白な布を頭にかぶったシスターの見本の姿で私に椅子を勧めてくれた。
礼をひとつし椅子に座れば、背後で飯田さんがそっと付き添ってくれた。

「お父様とお母様のご不幸はお爺様よりお話をお伺いしてます」

言ってアーメンと十字を切る姿にちょびっとだけ感動。

「突然の事はと言え制服も教科書の方は総て整って何よりです」
「はい。この度は特別の配慮をありがとうございます」

もうすぐ学年も変わると言うのに・・・なんでおじい様は待ちきれず編入なんてしたんだろう・・・って言うか、こんな話聞いてないし!!!
顔はにこにことシスター風見の話しを聞きながら心の中では涙涙で水没しそうだ。
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