ROCKな人魚姫《後編》
ラベルの色はそれぞれ違うが、どのビールがどういう味がするなんてわかっているわけがない。
だからといって、同じのを選ぶのもなんだか面白くないなぁと思い、
「じゃあ、あたし、これにする。」
一番派手な色のラベルのビールを選んだ。
「全部で1800円です。」
お金を支払い、ビールの栓も抜いてもらい、ドイツビール屋を後にした。
それぞれ1本ずつ手に持ち、店から少し離れたところで、
「じゃ、乾杯~!」
3人でビンごとラッパ飲み。
「ドイツビールうまいなぁ。俺、好きかも。」
一口で、ビンの半分ほどを飲み干し、満足そうなユウ。
「ドイツの味がする~」
「ほんとだ~」
あたしとエミは、まだビールの味なんてよくわからない。
ただ、ドイツビールという名前だけに浮かれているだけだ。
「お前ら、味わからないで高いビール飲んでるのかよっ?!」
そんなあたしたちを苦笑いで見つめるユウ。