ROCKな人魚姫《後編》
「雰囲気だよ。雰囲気。」
細かい事は気にするなと、またグイッと体にアルコールを染み込ませる。
グイッととは言っても、炭酸を一度にたくさんの量を飲み込むことが苦手なあたしは、エミやユウに比べると明らかにちびちびと飲んでいるのだけれど。
「あぁ。でもなんか、日本のビールとは違う気がする。」
何が違うのかと問われたら、どう答えたらいいのかはわからない。
さっきのユウの言葉に対抗したかったのだ。
そんなあたしの意図に気づいていないのか、ユウはチラッとこちらを向いたが、また前に向き直った。
そして、不意にこんな言葉を言ってきた。
「なぁ、一口れんのやつ飲ませて?俺のも一口やるから。」