ROCKな人魚姫《後編》


そんな気持ちからなのか。


4年生にいた自分の兄貴「新(アラタ)先輩」をよくここに連れてきてくれた。



ユウとそっくりな新先輩。

ユウよりは少し、柔らかい表情をしている。

ユウの真っ黒は髪に対し茶髪なことが、柔らかい印象を与えているのかもしれない。




新先輩の楽器はギターで、あたしたちがやりたい曲は大体弾くことが出来た。


他にやってるバンドがあったから、そっちを優先で、息抜きがてらにあたしたちの練習時間にギターを持って遊びに来てくれた。


新先輩のバンドメンバーもちょくちょく顔を出してくれ、シノブがいた頃のシビアな空気は消え、和気藹々な時間へとなっていた。



だが、今は文化祭前。先輩たちも自分たちのバンドに忙しく、あたしとユウで部室にいることが最近は多くなっていた。



先輩たちが来ないと、ユウは練習には来てくれないんじゃないか。



そんな、漠然とした不安がここ最近は積もり積もっていた。



とにかく、ここへユウが来てくれるよう、あたしは必死だった。



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