ROCKな人魚姫《後編》


買ったCDを握り締め、急いで家に帰る。


ただいまも言わずに自分の部屋に入ると、そのCDをコンポにセットした。


♪~♪~♪~



・・・これがユウの好きなバンドなんだ・・・。


またひとつ、ユウの気持ちに近づけた気がした。


ユウからのおすすめじゃなくても、あたしには心地よいパンクロックのサウンドだった。


だけど、このCDを聞くたびに思い出すのは、ユウのこと・・・。


どの曲もライブハウスで演奏したら、ダイブとか起きるんだろうなと思わせるノリのいい曲ばかり。


落ち込んでいる時に聞いたら、元気が出そうな曲ばかりのはずなのに、あたしにとってはこのアーティストの曲は、どれも胸がキュンとなって切なくなってしまう。



そんな気持ちが表れるたびに、あたしは自分に言い聞かせる。




『あの時、その気持ちは封印したでしょ。まだ、その封印を解く時ではない。』







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