『liar』


眞司の腕が逞しくて、ユキはドキドキが止まらなかった。

こんなに優しく、しっかりと守られている感覚を知らなかった。

中々寝付けずに居るのに、夢を見ている様な。

“幸せ”である事を感じている。


ユキは、そっと体を起こし、眞司の顔を覗き込んだ。

静かな寝息を立てている眞司の顔は、子供みたいに見える。


ユキは、眞司を起こさない様に、キスをした。


ユキを包んでいた右腕が動き、指先で軽く、鼻をかいた。

そしてまた、ユキを包む眞司の腕。


ユキは微笑んで、眞司の腕の中に治まり、静かに目を閉じた。





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