『liar』
二つ下の妹“マキ”は、生まれつき体が弱く、入退院を繰り返す生活をしていた。
母親の“幸子”は、二人の娘を平等に愛しているつもりだったが、体の弱いマキの世話に時間を費やす事が、圧倒的に多い。
「お姉ちゃんなんだから………」
いつも言われるその言葉で、『寂しいとは言ってはいけない』と、ユキは学んだ。
そして、褒められる事より叱られない事。
いつしか、親の顔色を見ながらの生活が、当たり前になっていた………