『liar』

「マキと一緒にいたい」

ユキは、そう言った。

本当は、幸子と一緒にいたかった。

でも、幸子が負担に感じている事を、ユキは分かっていた。


ーーーーー自分は邪魔

感覚で分かっていたから、ユキは“嘘”をついたのだ。


幸子の愛情を独り占めにしているマキを使って、得られる権利。


幸子と暮らす事。


『本当の事を言わなかったから、叶った願い』


幼いユキが、まるで悟ったように付いた“嘘”





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