『liar』
どんなに叩かれても、ユキは幸子の事が好き。
ーーーただ、愛して欲しい………
あれは、保育園に通っている頃。
保護者を呼んで歌や劇を披露する“おゆうぎ会”があった。
ユキは、みんなで歌う合唱の他に、一人で“お母さんの歌”を歌うという大役を任された。
間違わずに、最後まで歌う事が出来、先生や他のお母さん達からも、沢山の拍手が貰えた。
「ユキ、とっても上手だったョ」
とても優しい顔をして、ユキだけに言ってくれた言葉………
ずっと、忘れられない。
だからユキは、またあの時の様に、幸子が自分だけを見てくれる日を、信じていた。