『liar』

ある日、マキがお昼寝をしてる間、幸子はユキを連れて、スーパーに買い物に来た。


幸子を独り占め出来て、ユキは余程嬉しかったのか、帰り道では手を繋ぎ、大きな声で歌を歌った。


「ユキは、歌が上手だね」


褒められて、一層、大きくなる声。


「ねぇ、お母さん。
ユキが死んだら泣く?」


泣く=悲しい


そう思っているから。

大切な人が居なくなる事は、悲しい事だから。


幸子の口から、聞きたかった。


「当たり前でしょ。
ユキもマキも、大事なんだから」


『マキよりも?』


聞こうと思って、やめた………





< 18 / 103 >

この作品をシェア

pagetop