『liar』
勉は、若い頃の無理がたたり、慢性の神経痛を患って、仕事につく事が出来なかった。
生活は、幸子が経営する“小料理屋”にかかっている。
見た目とは違い、働く幸子の代わりに、マメに家事をこなす勉。
夕食は、いつも三人。
勉に懐かないユキは、家の中でも孤立していく。
「美味しいか?」
笑顔でマキに問い掛ける勉。
「うん。美味しいョ、お父さん」
ーーーマキは、いつの間に“お父さん”と呼んでいたのか……ーーー
ユキは、驚きを隠せない。