『liar』
部屋を出ても、行く所なんてない。
“子供部屋”とされてる、隣りの部屋の二段ベットの上の段。
唯一、ユキだけの場所。
ユキは、勉に聞こえない様に、声を殺して泣いた。
『……うぅっ……お…かあ………さん……』
止まらない鼻血を、枕が包んであるタオルで押さえながら、ユキは泣いた。
どんどん流れる、ユキの血と涙。
ーーー悔しくて…
ーーー悲しくて……
そして、寂しくて………
ユキは、精一杯、幸子を呼んだ。
声を出さずに………