『liar』
「ユキ、起きなさいっ」
いつの間にか眠ってしまったユキは、夜中に帰って来た幸子に、叩き起こされる。
「なんなの?この血……」
ーーーやっと会えた、
お母さん……ーーー
ユキは、血だらけの顔で幸子を見た。
ーーー助けて……
お母さん……ーーー
声を出そうとしても、言葉にならない。
「こんなに汚してっ。
自分で洗濯しなさいよっ」
幸子の口調は、荒々しかった。
ユキが、心と身体の痛み、そして壮絶な孤独に耐えて待ち焦がれた、母親。
ユキの心配をするより先に、布団を汚した事を責めた………