『liar』
ユキとサオリは、学校が終わると、いつも二人で遊んでいた。


近くの公園で、小さな池に群れる鳥に餌をあげたり、ベンチに並んで座り歌を歌ったり。


毎日、一緒だった。



「ねぇ?
今日は一人なの?」


いつもの公園のベンチで、ユキはサオリを待っていた時、知らない男が話しかけて来た。


「………」

ユキは黙っていたが、男は構わずユキの隣りに座る。

まだ若い男だったが、ユキから見れば、立派にオジサンであるその男は、立ち上がろうとしたユキの手を掴んだ。


「少し、お話ししよう」





< 38 / 103 >

この作品をシェア

pagetop