『liar』
怖くて、怖くて………

ユキは、動く事も声を出す事も出来ない。


スッキリした顔立ちで、背も高く、大人びた雰囲気のユキは、ランドセルがなければ、中学生くらいには見える。

それでもやっぱり、子供。


本当に怖い時には、どうする事も出来ない。


「大丈夫。
僕は、悪い人じゃないよ」


男の笑顔が、怖さを倍にする。


ユキの肩に左手を回し、男は自分の方にユキの身体を引き寄せた。


「名前、なんていうの?」


「………コ…コタニ……マ……キ…」


震えながら、ユキは妹の名前を言った。





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