『liar』
俊弥は、狭いユニットバスの中で、ユキの身体を優しく洗った。
意識は確かだが、身体はまだ、自分のものとは思えない感覚だった。
そんなユキに着替えをさせて、俊弥はまた、笑顔で言う。
「マキちゃん。
今度は、再来週の水曜日だよ。いいね?」
さっきまでとは違い、鋭い言い方をする。
「……………はい…」
「良い娘だね…」
また優しい俊弥に戻り、玄関のドアを開けた。
夕方、6時を過ぎても、まだ外は明るい。
公園では、遅くまで遊んでいる子供を迎えに来たらしい母親と、そんなに遅い時間なのかと驚いている子供。
世間の景色は、昨日までと何も変わらない。
ただ、公園を横切るユキ以外は………