『liar』
夏休みが終わり、新学期が始まる頃、事件が起きた。
元々、幸せに暮らしていた訳ではなかったが、良い事が無い代わりに、悪い事もなく暮らしていたのだ。
そんな時、幸子が無断で外泊をした。
勉の機嫌が悪くなり、可愛いハズのマキにさえ、大声をあげる。
泣きながらユキに助けを求めて来ても、ユキにはどうする事も出来ない。
「大丈夫だから……」
それだけ言って、ユキはマキを抱きしめ、部屋で二人、震えていた。