『liar』
次の日になっても、幸子は帰って来なかった。


勉は、一応、夕飯を作り、三人で会話の無いまま食べる。


ーーーーーそして深夜。


ユキは一人、眠る事が出来ない。


“ガタンっ”


玄関で物音がする。


幸子が帰って来たんだと思ったユキは、玄関のドアを開けた。


「こんばんは~」


ソコには、ニヤけた顔でフラつきながら、アルコールの匂いをさせた男が立っていた。


「おーい、幸子っ。
居るなら出て来いっ」

男は、部屋の中を覗き込みながら、大声で叫ぶ。


「お嬢ちゃん。
お母さん、居るだろう?」





< 53 / 103 >

この作品をシェア

pagetop