『liar』
「………う…ん…
…居る…ョ…」
ユキは、嘘をついた。
「なんだっ、こんな時間にっ」
勉が起き出して来た。
「幸子、居るんだろう?」
勉は、神経痛で痛めている右足を引きずりながら、外に出て、玄関のドアを閉めた。
ドカッ
ガッシャーーーン
ユキは、そっと玄関のドアを開け、二人の様子を伺った。
酔ってはいても、勉より体も大きく若い。
男は勉の上に馬乗りになり、何度も殴っていた。
「ふざけんなっ」
男が最後にそう言って、また勉を殴り、フラフラと歩いてユキの視界から消えて行った。