『liar』
「お母さん……、
明日は…来てくれる?」


中学校の入学式の前日、例によって外泊をして、お昼を過ぎてから帰って来た幸子に、恐る恐るユキは聞いてみる。


「あぁ……、
もう明日なのねぇ…」

そう言って、幸子は欠伸をした。


今の幸子には、稔が一番。

幸子より10歳程若く、感情をぶつけて来る稔を、誰よりも必要としていた。

執着を愛情だと勘違いしてしまうとしても………



ユキは、幸子との別れが近い事を察していた。


あんなに大切だったマキさえもおいて、出掛けて行く幸子を見て………





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