『liar』
ユキが予感していた通り、その日はすぐに訪れた。


「ユキ……、お母さん、幸せになりたいの…」


中学生になって、一ヶ月。

幸子は、ユキにだけそう告げた。


稔と、新しい人生をスタートさせたいと云う事。

ユキとマキの二人を一緒には、連れて行けないと云う事。

体の弱いマキを連れて行くと云う事。

ユキは、実の父親“義勝”と暮らすと云う事。


「分かった……」


ユキは、幸子の言葉を受け入れた。

もう、昔の様には行かない。


『マキと一緒に居たい』


そんな言葉では幸子を繋ぎとめておく事は出来ないと、知っていたから。





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