『liar』
男独りで暮らして来た、六畳二間のアパートの中で義勝は、久しぶりに会った娘との、会話のキッカケを探していた。


突然、五年前に別れた幸子から連絡があり、
『ユキを引き取って欲しい……』
と、頼まれた。


突然の事に戸惑い、二つ返事とは行かなかったが、もう若くはない義勝にも、年老いて行く事への不安があった。


肝硬変を患い、大量の薬を飲みながらの生活。


そんな生活が義勝を寂しくさせ、自分の残りの人生を娘と一緒に過ごしたいと思い、ユキと暮らす事を決めたのだ。





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