『liar』
「これ、お父さんに渡してね」


ユキの言葉を聞かないまま、黒澤は義勝に宛てた手紙を渡し、帰って行った。


テーブルの上に黒澤からの手紙を置き、ユキは家を出た。


『一人では居たくない』


初めて連れて行かれた“警察署”

言い訳をする時間さえ与えてくれなかった、大人達。


解っては居ても、ユキは辛かった……


『誰でも良い。
優しくして下さい』


投げても届かない言葉を、ユキは心の中で何度も叫ぶ。



そしていつしか、俊弥のアパートの前に、ユキは来ていた………





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