『liar』
学校中から好奇の目に曝された一日が終わり、ユキはサオリと二人、保恵に言われた場所へと向かっていた。

何が二人を待ち構えているのかと、多少の不安はあったが、不思議と二人共が行く事を拒んではいなかった。


学校からはそう遠くない場所に、そのアパートは建っていた。

雨曝しの鉄の階段を昇り、部屋番号や表札の見当たらないドアの前に並んで立つ。

「ココで良いのかなぁ?」

“201”としか書かれてないメモを見ながら、ユキが言った。


階段側の一番端にあるドアの中には、人の気配がする。


ユキは、サオリと目を合わせ、右手でドアをノックした。





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