『liar』
「空いてるョ」


ドアの中から、今朝聞いたばかりの保恵の声が聞こえて来た。


『失礼します…』


ドアを開けると、煙り混じりの澱んだ空気が流れ出て来た。

ユキとサオリは、もう一度視線を合わせ、覚悟を決めた様な表情をした。


「こっち、座りな」

『………はい…』


カーテンを閉めたままの薄暗い部屋の中、見た事のある顔が三人、並んでいた。


「昨日は、ホントに悪かったね。
警察、行ったの?」
保恵が、口を開いた。

「はい…」
ユキが答える。

「あたし達の事、なんで言わなかったの?」

「………名前とか……
知らなかったんで……」





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