『liar』
「いらっしゃ~い」

少し低めの嗄れた声の女が、カウンターの中から声をかける。


「ユキ、ママの明美だ」

義勝が、明美を呼び捨てにした事で、聞かなくても二人の関係を、ユキは察する事が出来た。


「ユキちゃんね!
はじめまして。ジュースで良い?」

ユキは、黙って頷いた。


開店前の時間なのか、店の中には義勝とユキ、そして明美の他には誰も居ない。


ユキは、手際良く飲み物を用意する明美を見ていた。


痩せた体に、胸元が開いた淡いグリーンのワンピースを着ている。

動く度に見える、筋張った首が、生活の疲れを感じさせる。





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