『liar』
「ねっ、お願い」


ユキが返事に困っていると、明美はカウンターの中に戻り、何処かへ電話をかけ始める。

数分後、店の前にはタクシーが一台停車した。


「社長、タクシーがみえたわよ」

明美が男に声をかけると、男はカウンターの上に何枚かの紙幣を置き、ゆっくりと立ち上がった。


「ユキちゃん、一緒に載って」

「…え?…でも…」

「あの社長さんね、娘さんと気まずいらしいの。だから、若い女の子の気持ちが聞きたいんだって」


ユキの返事を遮り、明美がユキに耳打ちをした。


ユキは、明美に背中を押されるまま、男と一緒にタクシーに載せられていた。





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