『liar』
「………」
一瞬の沈黙が、男の感情を高ぶらせる。
突然、助手席に座る私の腕を掴み、覆い被さる様にして、唇を求めてくる男。
「…まって……、まって…ください……。
こんな所…じゃ……イヤ…です……」
私は何故か、そんな言葉を発していた。
そしてそのまま、ホテルへ。
セックスなんて、誰とでも出来る気がした。
口や態度で抵抗する程は、イヤではなかったのも事実。
「キスだけは……、
しないで貰えますか?」
自分の中で、区別がしたかったから、私はそう言った。
男は、理解に苦しむ様な顔をして私をみたが、
「…分かった」
そう言って私の首筋から、体中に舌を這わして行く。