『liar』
あれからユキは、保恵の部屋とそこで知り合った人達の家を転々として暮らしている。


週に一度は家に帰るが、まさに帰るだけで、生活費を貰う為だけだった。


そんなユキの様子を気にしながらも、叱ったり詮索したりを、義勝はしなかった。


ユキへの接し方に戸惑う義勝にとっては、そのくらいの距離感が、丁度良かったからである。


ユキもまた、父親であると云う事に拘りを持たず、“お金をくれる人”だとして、義勝を見ていた。





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