『liar』
「テキトーに座って」

ユキが連れて来られた場所は、六畳程の広さの“プレバブ”だった。

眞司の家族は父親と二人で、その父親は小さな自動車修理工場を営んでいる。


工場の二階が住まいになっていて、従業員を一人居候させている為に部屋数が少ない。

そこで父親は、眞司が中学に入ると同時に、物置として使っていたプレバブを改装して、眞司の部屋に与えた。


元々、一日の半分以上を工場で過ごす父親とは、会話を交わす事も少なく、眞司の部屋を訪れる事も無い。


眞司の行動に干渉する事は、しない父親であった。





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