『liar』
決して口数が多い訳では無い二人は、しばらくの間、俯き加減のまま黙っていた。


外は陽が沈み、帰宅の為に家路を急ぐ人達の足音や車の音が聞こえ、隣りの家からは夕飯の支度をしているらしい様子が、匂いと共に伝わって来る。


「帰りたくなかったら、ずっと、ココに居て良いョ。
ウチの父親は、大丈夫だから」

おもむろに立ち上がり、電気を点けながら、眞司が話かけた。


「あの……
どうして…ですか?」

「ユキ…だよね?
俺、ユキの事が好きだから。
それで充分だろ?」


顔色一つ変えずに言う眞司を見つめながら、ユキは不思議な気持ちだった。





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