また、君に恋をする
由紀はしばらく考え込み、鍵を受け取った。


「私には思い出さないといけない事がある気がするんです。
これを読めば何か分かるかもしれません。
だから、読んでみようと思います。」


部屋に戻り、日記の鍵を開けた。

カラフルなペンで書かれた文字が並ぶ。

由紀はゆっくりと日記を読みはじめた。


『5月10日

今日はお兄ちゃんとお出かけ

何かデートみたいでドキドキしちゃったよ』


最初の数ページは他愛もない内容が並んでいた。

明るく活発な女の子を思わせる文面。

お兄さんっ子なのだろう。

毎日必ず勇人の話が出てくる。

5月15日の日記で、由紀の手は止まった。

そこには由紀の恋心がビッシリと書き連ねてあった。

そして、最後の行で言葉を失った。


『…お兄ちゃんが好き』
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