また、君に恋をする
「ごめんなさい…
ありがとうございました」


由紀は勇人に礼を言い、体を放した。

一瞬だけ由紀が戻ってきた気がしたが、すぐに違うと分かる。

勇人は悲しい目をしながら由紀を見つめていた。


「…日記、読みました…」


「…そうか」


「私と、お兄さんは…その…」


「…気にしなくていい。

由紀はこれから新しい未来に進めばいいんだから。」


優しい笑顔で勇人は言ったが、瞳の奥には深い悲しみが漂っていた。


「父さん達の事だけど、本当の親だと思ってあげて…

由紀が事故に遭って、二人共死ぬほど心配してたんだ。

由紀はちゃんと愛されてるんだよ。」


勇人の言葉に由紀は黙って頷いた。

記憶がない分、ショックは少ない気がする。

記憶喪失が少しだけ良い事の様に感じていた。
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