また、君に恋をする
以前の由紀が自信をなくすのも頷けた。

勇人は長身で、顔も悪くない。

二人が並ぶと誰にも引けを取らない恋人同士に見えるだろう。


「戻って来てるって聞いたから来てみたの。

連絡くれれば良かったのに…」


「…色々と立て込んでたから…」


「由紀ちゃん、大変だったものね…」


由紀は二人をぼんやりと眺めていた。

紅茶を飲もうと手を伸ばした和美がカップを滑らせた。

カップは床に転がり、紅茶は和美のブラウスを茶色く染めた。


「大丈夫か?」


勇人が慌てて和美に近寄る。

由紀はタオルを取りに母親の部屋へと向かった。

戻ってみると二人の姿がなく、浴室から音が漏れていた。


「火傷になったら大変だから我慢してくれな」


「…うん…ありがとう」


頬を染め、恥ずかしそうに俯く和美と、和美の胸元にシャワーの水を浴びせる勇人の姿がそこにあった。


ドクン


嫌なリズムを刻みながら鼓動が響く。
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